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純正インクしか使えない設計は違法 …



 9月30日、互換インクカートリッジを販売するエレコム(大阪市)などが、インクジェットプリンターの設計を変え、純正インクカートリッジしか使えないようにしたのは違法であるとし、ブラザー工業(名古屋市)を相手取り、設計変更の差し止めと約1500万円の賠償を求めた訴訟の判決が、東京地裁であった。

 ブラザーは、2018年12月以降に製造・販売したプリンターにおいて、インクカートリッジの読み取り機能の設計を変更し、互換品を認識しないようにした。裁判長は、設計変更が独占禁止法違反(不公正な取引方法)にあたると認め、約150万円の賠償をブラザーに命じた。

 プリンター製造業者は、プリンター本体の価格を抑え、利益率の高い純正インクを継続購入してもらうことで収益を上げている。純正品に比べ価格が安い互換品が売れれば、プリンター製造業者への経済的打撃が大きくなる。そのうえで、ブラザーの設計変更の目的は「市場シェア率が高い互換品の販売を困難にするため」とし、消費者が純正品を購入せざるを得ない状況になった。このため、設計変更に正当性はなく、市場での公正な競争を阻害するおそれがあり、不当な抱き合わせ販売だ、と判断した。

 また、設計変更で使えなくなった互換品をエレコムが破棄しなければならなかった事情などをふまえ、ブラザーに賠償責任があるとした。

 一方、設計変更の差し止めについては、すでにエレコムが変更に対応する互換品を開発していたとして認めなかった。

 専門家によると、この種の訴訟で互換品の販売業者が勝訴するのは珍しい。判決は消費者の立場をふまえ、安価な互換品が広く販売されることによって消費者の利益につながる内容になっている。あからさまに自由な競争を妨げる行為は、規制する必要がある。ただ、プリンターの製造業者は、独占禁止法違反とされた今回の読み取り機能の設計変更以外に、特許申請などの方法で互換品を使えないようにすることもでき、この判決だけで業界の仕組みが大きく変わることはない、とみている。
2021/10/12 


●出典:朝日新聞デジタル / 村上友里・新屋絵理 / 2021101

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